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〈コラム No.27〉エグゼクティブが知っておくべき『命のリズム』

「実は、自律神経をやっちゃってね」半年ぶりに会ったお仲間と、近況報告を兼ねて都内で一杯やっていた時の話です。

 

1ヶ月前から休職されているということで「まさか自分がこんなことになるとは・・」とショックを隠せない様子でうつむかれていたMさん。「半年前まで絶好調だったのにな・・」とポツリと呟かれました。

 

なんでもそつなくこなすタイプのMさんは今までの人生もいわゆる勝ち組。都内の綺麗なデザイナーズマンションに20代の頃から住んでおられ、最近は美人の奥さんと結婚し、子供も生まれまさしく絶好調という矢先の突然の出来事・・。

 

要領のいいMさんらしくないお話。何があったのかを伺ってみると部署の異動があり「そこで完全にリズムを乱され、忙しさに圧倒されてしまった」とのことでした。

 

誰でも自分の所属する「組織」の中では仲間としてきちんと認められたいという欲求があるものです。

 

それ自体は悪いことではないのですが、人生の9割の悩みが人間関係と言われる通り、人が関わってくるとどうしてもご自身のあらゆる側面のリズムを維持することは困難になっていきます。

 

しかもご本人は、忙しい自分に酔いしれていてその調整機能の不調を「充実」「絶好調!」と解釈してしまっているという、状況にはまっているというのはあるあるの悪魔的とも言えるパターンです。

 

この組織(外部)に対する配慮と、あなたの持つ命のリズム(内部)に対する配慮、このふたつの「塩梅」を誤ってしまうと、下手をすれば両方に多大なる被害が被られることにつながってしまいます。

 

ここで見えてくることは、自律神経が不調を起こすということの裏には「このリズムはあなたのリズムとは合わない」という体からのメッセージが来ているということ。

 

これを単なる対処療法で解決したり、症状を一時的に抑え、クサイ物に蓋をするようにしながらまた同じ職場に戻るようなことを繰り返してしまうと、せっかくあなた自身が取り戻そうとしている「本来のあるべきあなた」へと進む(回帰する)ことができなくなってしまいます。

 

こういったことが起こった裏には、そもそも何が起こっているのか?あなたの「命のリズム」は「正確に機能しているか」という点に着目すべきなのです。

 

あなたの「命のリズム」を正確に機能させる手順 〜自律神経のバランスをとるver.〜

では、どのようにしてこれらの問題を解決して、命のリズムの機能を回復させることができるようになるのでしょうか?

 

①帰属意識・仲間意識について知ること
②自律神経にはリズムがあることを知ること
③「自分らしく居られるための自律神経の塩梅」を作る
④「人生という物語における伏線回収」の領域あなたの覚醒

エグゼクティブが知るべき「組織」と「個人」の調和について、順を追ってご説明します。

 

①帰属意識・仲間意識について知る

まずは「組織」の中で知らず知らずに影響を受けて、気づいた頃には手遅れだったという状況を回避するために、必要な「認識」を持つことが重要です。

 

組織やグループというものは、知識・資格のあるなしではなく、自律神経などの身体レベルから密接にその意識が形作られているという構造を持っています。「神経系等」の「緊張と緩和」の「塩梅」によって一つの空気感を組織の関係者全員でコクリエイトしています。

 

それはいわゆる組織のカラーから明確に感じ取ることができます。あの企業は「ゆったりしているね」だとか「あの部署は体育会系だね」というようにです。

 

性格がアツいからとかおっとりしているからという分類で見たくなってしまいますが、部署内の全ての人が同じ性格ということはあるはずがありません。

 

実際は、自律神経の交感神経と副交感神経の「緊張と緩和」の「塩梅」や「リズム」が似通っているもの同士が集合しています。

 

当然のことながら、組織と個人の「神経の緊張と緩急」という塩梅やリズムが似ていれば、馴染みやすく、逆にリズムが合わなくなってくると、その組織の中では、やりにくさや居心地の悪さというものを感じ始めます。

 

②自律神経にはリズムがあることを知る

次に、自律神経にはリズムがあることをご説明します。朝になれば交感神経が優位になり、夜になれば副交感神経が優位になる、というのが有名な自律神経のリズムですが、ここで取り上げるのはあくまで「緩急の塩梅」にリズムが存在しているという話です。

 

オン・オフの切り替えが激しすぎる方というのは「緊張と緩和」のリズムがおかしい一例です。

 

車に例えるならば、時速100キロを出していた車が次の瞬間、急ブレーキをかけて0キロで停まってしまうという生活を繰り返しているようなもの。

 

当然タイヤの消耗は激しくすり減っていくわけで、心身への負担に置き換えて考えてみれば相当なものになっています。

 

仕事を100の力で全力でこなし、家に帰ったらばたんと倒れる。生活に必要な他のことはすべて他人に任せきり、このような生活は若いときには必要な時期もありますが、バランスの取り方というものをしっかり学んでいかないと、いつか調整機能が落ち、ガタがきてしまう。

 

こういった0か100かというバランスで生きることに慣れきってしまうと、まずはあなたの「言動」から、だんだんとその不調は明るみになっていきます。

 

会話ではあからさまにキツイ言い方をしてしまったり、お断りしないといけない場面で安易に受け入れてしまって後悔したり、スケジュール管理を誤ったり、ということをするようになります。

 

一見バラバラな事柄に見えても「自分の中の調整機能」という点において、ご自身で正常な判断ができなくなっているのです。「どうしてこんなびっちりとスケジュールを入れているんですか?」と聞いても「いや〜!」という訳のわかっていない返事が返ってきてしまう。

 

忙しいことに対する愉悦や、優越感などによって感覚に「麻痺」が起こっているので、対象との間で一番楽なあなた自身のポジションというものが論理的に判断できなくなっている、わけがわからなくなっている、という状態です。

 

「常時」良いリズムで「運転」する、そのための正常な思考がきちんとできるということが大切になっていきます。

 

③「自分らしく居られるための自律神経の塩梅」を作る

組織のリズムに合わなかった時、自律神経は狂い始めますが、その時の対応の仕方が最も重要です。この時明るみになっているのは、今の職場や人間関係よりも、「自分が本当に望んでいる次のステージへの希求」に気が付きやすいということです。

 

1:絶好調だと思っていたとき(実際はすでに不調)
2:病気や問題・事件の発生(実際は表面化しただけ)
3:治そうとする
4:治ってきたとき(今までの人生を振り返ることが初めてできる)
5:今までのリズムはあなたらしくなかったと気が付き初め何かしらの行動に移し、今後の人生を模索し始める(考え方が大きく変わるがまだ基盤ができていない、何をしたらいいか本人には見極めができないため、具体性に欠ける)

 

この流れを踏みながら、今までのあなたから大きく変わり、「自分らしさとは」「本当に求めている人生とは」などを思考するきっかけとなります。

 

ここで重要なことは、今までの人生に直すこと(元に戻すだけ)では全く足りないということです。

 

なぜならば、既に今までの生き方のリズム自体が狂っており、だからこそ、その積み重なりによって「2:病気や問題・事件の発生(実際は表面化しただけ)」は起きているからです。

 

その現実を勇気ある姿勢で受け止め、「あるべきあなた」に近づく。ここでステージそのものの移行ができるかどうか、それが人生の鍵と言えます。

 

④「人生という物語における伏線回収」の領域あなたの覚醒

“「あるべきあなた」に近づくこと”この部分はよくイメージできないかもしれませんが、とても重要なことなのです。

 

年齢による時間軸と、人生の章の進展にはなんら関連性はなく、時間は勝手に進むものですが、人生の章が深まっていく、展開されていく、物語が進んでいくというのは、「希求」に出会うまでが人生の序章であり、希求に触れて導かれ、行動を重ねてからが人生の第1章となります。

 

これはあなた自身の状態や意識の水準が次のステージに入ったということを表しています。

 

ここからが人生の面白いところになってくるのですが、この扉を開かずにそのまま人生の年を重ねられる方が多いという実情があります。あなたらしいキャリア、心底納得できる人生の選択、具体的な職業や、パートナーシップはこのステージから展開されていきます。

 

人生の序章で体験した数々のできごと、その伏線回収はこのように本のページをめくっていくかのように、自分で物語を進めてステートを次に引き上げていかないと、理由(真意/真価)は一生わからないままです。

 

人生はいつも何かと何かの間の板挟みです。
あなたと職場環境、あなたとパートナーや子供、「あちらを立てればこちらが立たず」ということは多いものです。その中で「適切」な「塩梅」を導き出すのは実は相当に難しいことでもあります。

 

ですが、それを環境のせいにしているままであったり、現状の忙しさに酔いしれたりしていますと、あなたの物語は1ページも進まない。

 

「命のリズム」はだんだんと機能しなくなっていき、組織や大切なものと、あなたとの関係は良い状態を保つことがむづかしくなってしまうのです。

 

あるべきあなたに近づくためには、「命のリズム」の機能回復が必須です。

 

それまで「絶好調だ」と自負していた人が、職場が代わり、たった1ヶ月であれよあれよという間に病気になってしまう…なんてことは、珍しくもなんともない。

 

なんとなくの対処療法・現状維持ですり減っていく道ではなく、根本から「あるべきあなた」に近づくための行動はされているでしょうか?

 

本質的な一手を打つべきタイミングは今ではないでしょうか?

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