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〈コラム No.42〉超えるべき壁:対処療法からエンハンス思考への成長戦略

「新妻先生、何かあっても、そのときそのときで問題解決はできるようになってきています。

 

でも、根本的にやっているハズなのに、なぜ私はずっと変わらないのでしょう…期待しすぎなんでしょうか?」

 

先日、都内で開かれた会合の席で、久しぶりにお会いしたS社長のお言葉です。

 

新妻「それはそうでしょう、”ゼロ”にしてるだけですからね」

 

私は思わず答えてしまいました。

 

ビジネスをしているとよくわかるのですが、いわゆる「対処療法グセ」のある方と、「根本治療思考」の方の両方がいらっしゃいます。

 

また、この両者よりもずっと数は少ないですが、

 

極めて重要な層でいらっしゃるのが「エンハンス思考」の方です。※(Enhance)人間性の〔質・度合い・能力などを〕高める、強化する、さらによくする

 

これは私自身の肌感覚ですが3タイプの比率はざっと7:2:1くらいの割合です。

 

世の中のビジネスのほとんどは、何かの問題を解決することを前提に発想されており、それが場当たり的なものか、根本レベルから改善・治療してくれるのかはさておき、

 

そういった商品・サービスが市場にはごまんとあります。

 

ここで大抵の方が、まずは手っ取り早く選べてコストもかからない「対処療法モノ」をチョイスします。しかし、当然ながらこの手の選択では、あっという間に元の状態に戻ってしまうことに気がつき始めます。

 

とくに経営者ともなると、全員とは言わないまでも、”物事の本質”を抑えようとする傾向が強くなってきます。

 

ビジネスにしろ人生にしろ、根本的な改善が見られるものを選んでいくことが必要なのだ、「消費ではなく投資だ必要」ということに、自然と気がつかれていくのでしょう。

 

ところがどうしたことでしょう、せっかく根本的なことに取り組んできているはずなのに、「ステージがなぜ上がっていかないのか?」

 

その理由は、まさにシンプルです。

 

マイナスの状況を“ゼロ”にしてるだけだからです。

 

つまり対処療法にしろ根本療法にしろ、それが表面的であれ本質的であれ、

 

いずれにしても、「取り組み」によって状況を改善して問題がなくなれば、”メデタシメデダシの発想”という意味ではまったく同じ思考構造をしている、ということです。

 

たしかに消費や浪費ではなく、投資的観点を持ち、「根っこから取り組もう」という姿勢がある分だけ、本質的な改善を意識されている方はすばらしいです。よく考えていらっしゃる。

 

しかし、再発する頻度は違えど、同じようなことがまた起きてしまう…ということは、実際には対処療法を重ねていることと同じということです。

 

これは心当たりある方にはかなりイタイ話かもしれません。

 

せっかく「投資」してきたつもりなのに…もしかしてこれって結局、対処するだけの「浪費」になっていたの…?という大変ショックな気持ちになられるのも無理はありません。

 

こういった「根本治療思考タイプ」の方に決定的に欠けている観点、それが「エンハンス」という概念です。

 

これはマイナスをゼロにするのではなく、ゼロからプラスにしていく状態を指してこういっています。

 

当たり前の話ですが、借金がある状態では、まず返済することが目的になります。貯金はできません。

 

貯金ができるのは、借金がなくなってからの話というのは小学生でもわかる話。

 

そして重要なことは、この貯金する量が100万なのか、1000万なのか、1億なのかは、その方の実現したい物事の内容によって選べばいいのです。

 

それを為すには、成功させるには1億円必要ということでしたら、そこまで貯めるまでのことです。

 

しかし、お金ではこのように見える体感として数値がわかりやすいことも、これがエネルギーのレベルや存在力といった、社会では一般化されていない値になると急によくわからなくなってしまうようです。

 

しかし、「ステージを上げる」ということは、マイナスをゼロにすることでは決してありません。

 

それは病気が治って、借金がなくなって、よかったね。「とりあえず一安心ですね」というニュートラルになれる段階なのです。

 

車で言えば、修理が終わって、さあここからドライブがようやくできるという状態。

 

ここからどのように気を引き締めて、本当にやりたいことをやっていきながら人生の花を咲かせていくか、を考えることができるのです。

 

つまり、投資というのは、ニュートラルになった段階から、さらにギアを入れていく人にだけ回収のチャンスが巡ってくるということです。

 

投資をする意識ではなく、「投資し続けていく」という姿勢は問題解決がされた後こそ、強く持つ必要があるのです。

 

大谷翔平選手を見れば一目瞭然ですが、毎年「より良くなる」というサイクルが機能していることがハッキリとわかります。

 

問題をゼロにしているのではなく、さらに質を高めていく、つまりエンハンス(さらによく)させる思考パターンが確立されているのです。

 

最初に挙げたようにこうしたエンハンス思考が持てる人というのは1割にも満たない、というのが私の肌感です。

 

大半の人が、「壊しては直し、直しては壊し」という堂々巡りで生涯を終えていく。

 

それに対して、エンハンス思考の人は、対処療法から学び、すぐに根本治療に推移します。そして問題が解決した後、さらに本腰を入れて強く自己投資を推し進め、だれよりも大きな成果を手にします。

 

あなたはせっかくの投資を中途半端に終わらせてしまい、一番もったいないところでエネルギーをまた失ってしまってはいませんか?

 

さらによくなろうとする姿勢をつづけて、これまでのすべてが本当に報われる人生を歩んでください。応援しています。

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