■宇宙自身が望んだ乱雑化の流れ
エントロピーの増大、これは地球環境の性(サガ)です。
時間は頼んでもいないのに勝手に進んでしまいます。そしてその分だけ情報量が増えて、その情報の増加に伴って世界は無秩序に混乱していく。放っておけば、私たちの住む世界は無秩序な情報で溢れかえり収集がつかなくなっていく。
しかし、大量のミツバチからわずかな蜂蜜が採取されるように、膨大に膨れ上がったエントロピーからも上手くすれば、今後に活かせるようなエッセンスを抽出することができるとしたらどうでしょう?
いや、むしろこの大宇宙様が、設定条件として「エントロピーの増大」を仕組み化されている背景には、その後の“蜂蜜の摂取”を誰かがおこなってくれることを見越してのことかもしれません。でなければ、わざわざ世界を乱雑化させていくプロセスが設定されたりするでしょうか?
一定の不変な秩序だけが欲しいのなら、エントロピーの増大という理(ことわり)をわざわざ設ける必要はなかったのではないでしょうか?
だからきっと、創造主はざわと人間が改めて宇宙を再構築する気になった時に、以前よりも上質な世界を構築できるよう、そういう楽しみを私たちに与えてくれたに違いない。。。
■部屋の状態からエントロピーを見つめ直す
さて、ここで改めてエントロピーとは?という話題。
ここで頻繁に例えられるのが部屋の状態です。
部屋は一日過ごせば、おのずと散らかっていきます。この散らかる、という現象が部屋の中の乱雑さを増して無秩序な状態へと向かわせていく。これがエントロピーの増大。
そこでこの対抗策として、私たちは時間経過とともに部屋が一方的に無秩序化していくことがないよう、“掃除”という手段を用いて部屋の中の秩序の回復しようとします。
これがエントロピーの増加と、その抑制という相互関係。
しかし、ここでポイントとしたいのは、抑制行為としての掃除の質です。
世界が乱雑になっていく度合いに対して、世界をシンプルにしていく度合い、そのバランス感覚という観点。いうまでもなく、後者のより世界がシンプルになっていく力が、乱雑化していく力よりも毎回、少しだけ強く作用している必要があります。
そうすれば、私たちは掃除をするたびに、以前よりもほんの少しだけカンタンになった世界(部屋)に住むことができるようになっていく。
反対に、もし掃除をしてはいるものの、その秩序化の力が乱雑化に対して劣っていると、私たちの世界は、徐々に徐々に寄り切られるようにして堕落していくことになってしまう。
実際に、掃除はしているものの、相対的に寄り切られ人生のドツボのはまっている人の方が圧倒的に多いようです。だから、「掃除への態度」はあなたの人生の肝と言ってもいい。
基準として、掃除をするのなら前回の掃除をし終わった後にキレイに整っていた部屋よりも、ほんの少だけ、今回の掃除後の方がキレイに整っている部屋にする必要があります。ほんの少しだけ、以前よりも秩序高い部屋にする。これがコツ。
「ほんの少しだけ」あなたが部屋に秩序を増やして、乱雑さを少なくできた、ということは、つまり、それだけあなた自身の意識の中に、エントロピー増加の宇宙法則に争い、普遍的な秩序=エッセンスが蓄えられたという証。これは高位の宇宙法則とも呼べるものです。
「ほんの少しだけ以前より良い部屋にする」
そのためには家具の配置を変えないといけないかもしれない、余計にモノを捨てる判断が必要かもしれない。これらの微細な一つひとつの判断基準は、自分の選択の何が秩序を高め、何がそうでないのか、を常に自問自答し、感じ取り微調整しながらおこなってく、極めて自覚的な作業です。
■秩序を付与することが人間としての真の役割
年始のコラムでは一年間365日をコーヒー豆として、そのエッセンスを抽出して“去年コーヒー”を作ること、そしてその香りを感じてみることが大切であると書きました。あの話は今回の話と全く同じです。
コーヒー豆はそのままにしておけば、役に立たない、それは挽いて淹れてこそこそ役に立つ。コーヒーにすることで私たちは豆だった物質に秩序を与え直しているわけです。
部屋が散らかることは一向に悪いことではないです。それはそれだけ活動したということなのだから。しかし、その後、どう片付けるか、掃除するか、ここが運命の分かれ道。
上手く掃除できれば、それまでの活動で乱雑になった部屋はむしろ最高のエッセンスとなって、私たちの次回の活動に利用できるような自在なレベルにまで抽象化されます。掃除の質、コーヒーの淹れ方が下手なら、それは次の活動の質にもその乱雑さの影響が波及していく。。
今この瞬間にも、あなたの部屋も、この国も、この惑星も、エントロピー増大の真っ只中にあります。この渦中において、真に人間的な行為は、この法則に抗うときにこそ、生成することができます。散らかった部屋を愛して、掃除し、その中からかけがえのない本質を掴み取る。
あなたは無秩序の流れに寄り切られて散っていきますか?それとも、あなた自身の人生の要所で、秩序を付与することができる存在ですか?
時間は進み続けています。
真の道を創ることができる人間になりましょう。