コラム

第11回 チーム呼吸の本質。

 

ざっくりポイント

✔︎人間は言葉以外にも多くの次元でコミュニケーションをしている
✔︎何を話すか?よりどのような存在状態でその場にいるか?が大きく影響する
✔︎呼吸は自他を「明確化、もしくは統合化」するきっかけになる

 

人は1日あたり2万~2万2000回ほど呼吸をしていると言われています。

この呼吸をコントロールし、さまざまな変化をつくり出すことのができるのが呼吸法です。「吸う・吐く・止める」を「鼻もしくは口」で行いますが、そのバリエーションは世界中に数百、もしかしたら数千種類とあるかもしれません。

私自身が実践しているものだけでも数十種類ありますが、日々自分の体を実験台にしながらいくつもの呼吸法を試し、その効果を検証、研究していくことは私の人生の1つの喜びとなっています。

私がかつて出会ったあるヨギは「呼吸の仕方がその人にとっての履歴書である」と表現していました。特定の息の吸い方、吐き方でリズムが固着しており、「その呼吸の仕方ゆえに、その考え方や、その感情の持ち方」しかできなくなっている、という具合です。

この固着した「硬い呼吸」は「チーム全体の呼吸」という単位でも実際には起きています。「ここにいると息が詰まりそうだ…」という体験をしたことのある人は多いと思いますが、チーム内の人間はある程度似通った息の仕方を無意識的に行っている、というのが人間の習性です。そのチーム全体の呼吸のリズムが不自然なものだと、外部から来た人間は直感的に呼吸に違和感を感じます。

しかし不自然な呼吸も、時には数十年という単位でそれを繰り返してきた人やチームにとってはその呼吸こそが「自然な呼吸」なのでこの浅く硬い状態には文字通り新しい空気(情報)が入り込む余地がなくなっているのです。

人間同士が円滑なコミュニケーションを取るために呼吸のリズムを互いにある程度合わせていることは想像に難くないと思います。しかしこの他にも脳波やオーラ、微生物群も含めて、その空間にいる人間同士はたとえ言葉を交わさなくても実にさまざまな次元で互いに干渉・交流を行っています。

・Gさんがオフィスに入って来ただけで圧力を感じる
・Sさんが同席しているだけで会議がよい雰囲気になる

こういったことは日常茶飯事です。

ですから「何を話し合うべきか?」や「どう話し合うか?」と言った方法論は多々ありますが、ここで改めてお伝えしたいことはその話し合いの大前提として「予めどのような存在状態で全員がその場に参加しているか?」ということです。

「存在状態が極めてそろった段階」でチームミーティングでも、営業でもスタートできると、全体の統一感・推進力が違ってきます。

では「存在状態がそろう」というのは具体的にどのようなことを指しているのでしょうか?

これは、年齢や性別、経験の有無、国籍といった全てのアイディンティを一旦ゼロ化、初期化して、真っさらな裸の意識に全員がなった状態のことです。

年齢や経験に付随したプライドや自尊心、自己保身といったチームの推進力を上げるために必要のない不純物を取り除き、「流動性に富んだコミュニケーション」が起きる純粋な水準を確保するためにこの「全員の存在状態がそろう」ということが必須になります。

ところが、現段階では一般的に人間の意識はある相手との交流を持つ際に、その相手と自分との力関係を図りながら、「上手に出るか?下手に出るか?」という「優劣どちらかの立ち位置に自らを固定する」ことを好む傾向があります。

狡猾なパターンとしては、「しばらくの間は一見弱者を演じながら必要な情報や力を手に入れるために打算的にそうしている」というものもあります。

このような意識領域はいずれにもしても「愛と尊敬のみの人間関係」がいかに真に豊かな交流、相互活性化、共同の創造を生み出すか?という真実を知らなかったり、理解することができずに「恐れや猜疑心による自己保身」を手放すことができないために起きる現象です。

そして実は、この「自己保身」という低い意識を手放す大きな助けとなるのが呼吸法です。なぜなら呼吸とは「内部と外部」を徹底的に意識させ、自他の関係性を「明確化もしくは統合化」する行為に他ならないからです。

人は息が苦しくなれば、生命維持のために意識が「肉体のみ(保身)」に向きやすくなります。反対に、理想的な呼吸をしていると心地よい状態でいることができるので思考・感情・肉体のさらに奥、「ハートからのコミュニケーション」を行うだけの可能性に触れることができるようになります。

特に現代は「思考のスピードをどうやったら上げられるか?」といった情報が多いので注意していただきたいのですが、本質的に最も速度が早いのはハートです。最も生産性が高いのはハートであり、最も繁栄するのはハートの力由来の人間同士の相互作用が起きた時です。ですから「ハートを補佐するのが思考や感情、肉体の役目である」という認識を持っておいていただければと思います。

つまり呼吸法とは詰まる所、脳波を変えたり、感情を落ち着かせたりといったさまざまな効果を出すことのできる便利なツールですが、その究極の目的は「内外・自他という二元性の幻想を崩し」ハートの交流にお互いが至ることをサポートするためのノウハウだということです。

 「自分という認識」が肉体や思考に生じるのではなく、いま隣にいる人と私との間「空間の流動に生じる」ようになってくると、人との接し方、出会い方にパラダイムシフトが起こります。そして創造の次元が変わります。

今回のコラムが読者の皆さんに深く浸透してゆき、今日これから会う誰かとの交流がより明るく開かれたものになっていくことを祈念しております。

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