コラム

第6回 経営者が受ける圧力と正しい昇華の方法

 経営者がつね日頃受けている「社会圧」をどう自身と自社の起爆剤として昇華させていくかという話です。

 企業というのは「ブランドイメージ」が全てと言っていいくらい重要な要素をしめています。どのように他者に自分たちを定義づけさせるか、他者から自分たちの事業にとって「彼らは有益な存在である」と認知してもらえれば、どんどん商売は上手くいくようになりますし、「こいつらは無益…」と判断されれば社会から淘汰されます。

 この世の中は既にサービスも、商品も溢れかえっていますが、さらに、さらに!「こんなのどうですか?あんなのどうですか?」と手を替え品を替えさらにアピールし続けているのがこの社会です。
 

 「もういいだろ…!」と感じている層はじつはかなりいますが、でも各自の生活が、組織の存続がかかっていますから、止まることはできない。生涯泳ぎ続ける魚のようなものです。
 

 泳ぎ続けていることで維持しているのは「ブランドイメージの確立・保持」です。この「ブランド」という言葉を神のように崇拝している人々が多くいます。確かに他とは違う特色、付加価値を打ち出していくことは商売の基本ですが、この「ブランド意識」は「悟り意識」とは逆行しているという事実を経営者なら自分の命を護るためにも知っておくべきです。
 

 悟りとは「差取り」であり、「私はあなた、あなたは私」という自他一如を自覚している差別の消えた無条件の状態です。しかし「ブランド」とは限定、特別、オリジナル、差別化であり、これは全体とのつながり方を極めて人為的に操作していると言えます。ですから「ブランド」を創造していく行為は元来、非常に不自然な行為であるということです。

 

 この「不自然さ」に対する明確な答えを見出せない層は、社会構造そのものに強い矛盾を感じ鬱になったり、逆にヘタに立ち回りがうまい層は濁った水を濁っていると分かりつつ、飲み続けることで社会的地位を押し上げます。ところがいつの間にか心身共に喰われていってしまうパターンなどがあります。

 

 社会の中で自社ブランドを確立しようと、さまざまな企業が「我を張り合い」より高い付加価値という名の「差を生み出した企業」が勝つのが資本主義のルールですから、格差が広がる中で、勝ち組(価値組)は「我々は極めて不自然な状態にある」ということを勝てば勝つほど自覚として深めていかないと、自然法則の働きによって腐敗が始まります。 

  

 強引に海からバケツで汲み出した海水は冷やすなり、沸騰させるなり、ろ過装置に通すなり、常に別のエネルギーをかけ続けなければ「海から汲んだ瞬間に水は臭い出す」ということです。

 この一連の工程を行う代表者が企業の経営者の方々なわけですから、基本的な構造として、「経営者は早死にする」ということです。「不自然さを維持することの不自然さ」に四六時中浸かっているわけですから当然なのですが、少なくとも成功者の周りには類友として、「不自然さの自覚の度合いの低い人間」が集まり、一定の集合意識を形成しますから、どんどん本人にとっては事態に気がつきにくい状況が設定されていきます。

 

 頑固さ故のこだわりで自社ブランドを確立した人間が、その頑固さ故に腐敗し、没する。ブランドの確立がいかに「もろ刃」であるか、いかに陰陽の「陰」の部分を見落としやすいかということです。

  

 「成功していくこと=不自然」であるからして、黒字業績の企業は腐敗がいつもすぐ側にあることを理解していれば、「循環・還元・発酵」というワードこそが滞り解消、不自然さを相殺するための最重要ポイントであることが見えてきます。 

 

 しかし、これを単純にキャッシュフローや社会還元という方向性だけで考えていては、決してバランスはしません。キャッシュフローや社会還元というのはあくまで「社会に対して企業が行う」という限定がかかっており、この社会、我々の社会自体が地球や宇宙規模のスケール感からして不自然で不安定な状態でそもそもが成り立っているからです。

 社会の中での成功を社会に還元する、これは「海からバケツで汲んできた水を、さらに一度コップですくって、それをまた元のバケツに戻す」というような狭い範囲での還元であり、この還元行為に本質的な不自然さを相殺する力はありません。株の構造などはこの点の象徴であり、社会性としては非常に重要ですが、よりマクロ的な視点においては全体の流れを活性化していているとは言い難いのです。 

 

 企業は事業を成功させ、十分に社会還元に取り組む、それはお金や技術、物資であったりする何かしら形のある目に見える還元です。この物質領域の循環を満たした上で、もう一つ求められるのは、企業が社会(グローバル社会)という枠組みを飛び越えて、自然直結、宇宙全体の意識に根ざした目に見えないエネルギー、非物質の循環に着手していくということです。

 この「物資とエネルギー両方の正しい循環」が定着したとき、企業のブランド意識は不自然さを脱し、大きな循環の中に我々の社会を再統合させる機能を持つ組織となります。そしてこの状態が「本来の企業の在り方」であり、正真正銘のブランドと言えます。(古代エジプト文明の社会の基準はここにありました)

 天地直結の企業の在り方を松下幸之助氏は「経営は素直である。」と表現しました。もちろんこれは社会還元を考えての発言であったわけです。しかしその社会還元をより善く行うための条件が天地をつなげるという意味合いでの「素直さ」にあると悟り、実践することができるレベルにまで松下氏個人の意識は到達していました。だからこそ会社の繁栄と、松下氏ご自身の長生きがあったわけです。

 

 反対に、Appleのスティーブ・ジョブズ氏のように、瞑想や菜食主義といった思想に馴染みつつも、その習慣が本質である「差取り・私はあなた、あなたは私」という意識に向かうことなく、惜しいところで最終的に頑固さと執着の状態から抜け出せなくなってしまった人物もいます。彼のように誰しもが認めるイノベーターであったにも関わらず、自らがつくり出した「美しいブランドの圧力…」に飲み込まれていってしまったケースは他にも多くあります。

 もちろん、この2名ともがここに挙げた理由だけが全てということではなく、状況はさまざまですが、経営者の方々は「自分がつくろとしている、維持しているブランド」がいかに危険性を孕んでいるのか、今一度よく理解しておく必要があります。そして「成功の不自然さ」に汚染される前に社会的成功のエネルギーを「大きく還元していく仕組み」を自社に設けることが、組織の自浄作用とさらなる進化への必須ポイントとなります。

 

 新しい時代を見据えた貴社の素直な経営を応援しています。

-コラム

Copyright© 株式会社サイレントキングダム , 2020 All Rights Reserved.